ステキな人
ふらりふらりとほろ酔い加減で帰って来た夜。何か----小さな鳴き声に気づいて足が止った。
さっさと歩けと乱暴に背を押す手に、何か聴こえる、と告げても幻聴だと一蹴された。
そうかもしれないと思い直してガタつく螺旋階段に足をかけ、ふにゃりとした感触に少し驚いた。これはそうとう酔っているみたい。
でも、見下した靴先が黒い何かを踏んでいる。
確かめようと思って少し力を込めれば、にゃあ、と鳴いた。
「何やってんだオマエ。踏み潰す気か」
今度はもっと乱暴に押し退けられてよろめいて、無様に尻餅ついてしまった。
「それなぁに」
「ネコ。まだ小さい」
「ふぅん」
「オマエどこから来たんだ。捨てられたのか」
両手にすっぽり隠れてしまう小さな黒い塊にかける声が優しい気がして、少し面白くない。
そんなじゃなかっただろ、オレん時はさ。
さっさと歩けと乱暴に背を押す手に、何か聴こえる、と告げても幻聴だと一蹴された。
そうかもしれないと思い直してガタつく螺旋階段に足をかけ、ふにゃりとした感触に少し驚いた。これはそうとう酔っているみたい。
でも、見下した靴先が黒い何かを踏んでいる。
確かめようと思って少し力を込めれば、にゃあ、と鳴いた。
「何やってんだオマエ。踏み潰す気か」
今度はもっと乱暴に押し退けられてよろめいて、無様に尻餅ついてしまった。
「それなぁに」
「ネコ。まだ小さい」
「ふぅん」
「オマエどこから来たんだ。捨てられたのか」
両手にすっぽり隠れてしまう小さな黒い塊にかける声が優しい気がして、少し面白くない。
そんなじゃなかっただろ、オレん時はさ。
20070412