ワガママ

 口許を拭った指を、確かめるように舐める。
「……砂糖入れた?」
 濡れたその舌先にゾクリとした。
「いや。何で?」
「甘い」
「おかしいな」
 不味いと言われるならまだしもな感想。砂糖を入れて飲む姿など見た記憶はなく、甘味類を避けるその嗜好に沿ったつもりであったのだ。
 ただ慣れていないことで、淹れ具合を間違ったのかもしれないと、さして好きでもないこのカフェインを自ら味わってみて。
 思わず眉が寄った。
「……味覚おかしくないか」
「そう?」
 グラスが揺れ、氷が鳴って、平気そうにもう一口を飲んだ。







20071009

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