番号通知

 携帯電話が鳴り出した。
 ベッドの上で煙草を吹かしていた男は、面白味も無いベルにちらりと視線を投げる。仮眠のつもりで横になった途端だった。暇な時ならいざ知らず今はあくまで仕事の最中。
 一向に鳴り止む気配もなくて、喧しく存在を主張するソレを仕方なく手に取った。
 ディスプレイに表示されていたのは見知った名前。だが、その番号からかかってくることなどない。気紛れに携帯を鳴らして「これが私の番号」とアイツが笑った、それきり。
 珍しいこともあるなと、僅かな訝しさを感じながら通話ボタンを押した。







End

20070412

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